そんな事って、本当に、現実?

でも目の前に居るあめさんは、本物のあめさん。間違えようが無い。

そうだよ、私があめさんを間違える訳がない――


「私も…あめさんが、好きです」


――この時に見た彼の表情を、私は一生忘れないだろう――



「…何?ハルキ。また分かんなくなっちゃったの?」


「しょうがないなぁ」なんて言いながらも、その言葉とは裏腹にやけに楽しそうなあめさんの表情。
そして滑らかな動きで私との距離を縮める彼に――


「ちょ、あめさん!だめ、タクシー!ここタクシーですって!」


必死に、静止を促す私。これがここ最近のパターンになりつつある。


あの日の私の言葉がよほど気に入ったのか、彼はよくこれを理由に私を構った。

私だって、あめさんが構ってくれるのは素直に嬉しいと思う。でも、所構わずなのは本当に、勘弁して欲しい。

この間なんていつもの4人で飲みに来た時、何を思ったのかみんなの前でいきなりだった。その後しれっとした顔で、「そーゆー事だから」とか言って。どういう事だ。その後の働きにかなり支障があったのは言うまでもない。