そ、そういう事って、やっぱり、そういう事…なのかなぁ。


頭の中でじっくり思考して、理解して、だとしたら嬉しいなと思いながら、いや、でもそう簡単なものでは無いだろうと私は思い留まる。

よく考えたら、連絡先を知らない。しかもいつ会えるのかも分からない。世の中に、こんなに曖昧な関係で付き合っています、なんて言える人達はいるのだろうか。


そう思うと、私はユイの言葉を素直に受け入れる事が出来なかった。確かに変わったのは本当。でも確信が持てるかと言われると、難しい。


そんな心に広がるモヤモヤがピークに達した時、ちょうど私は、確認をするチャンスを得た。


あめさんが、あの階段に居た。本当に、ミトさんもあめさんも絶妙なタイミング。七不思議の一つにでも入るのではと真面目に思いつつ、私は彼に声を掛ける。振り返った彼はとてもご機嫌なようだった。


「あめさん。今、元気ですか?」

「俺はいつでも元気だよ」

「…うん、そうですよね。そうでした」


いや、質問の意味が分からなかったよなと、自分に反省。私は今聞いても大丈夫なのかを確認したかったはずなのに、元気ですかって。大分頭の中が困った事になっている。

思わず小さく溜息をつく私に、あめさんは怪訝そうに首を傾げ、「何かあったのー?」なんて、可愛らしく尋ねる。


私は内心、『うわ、でた!』と、胸をときめかせた。この人のコレは可愛過ぎるのだ。しっかり酔っている時に見せるコレは、女の私でも真似出来ない代物だ。

こんな顔でおねだりなんてされたら、きっとなんでもしてあげちゃうと思う。そんな事を高鳴る鼓動を抑えながら考える自分は、すっかりあめさん病を患っていると思う。