私は、自然と口が動いた。
答えなんてそれこそ今更。私は私がどう思ってるのか、今どう感じているのか、すでに知っている。
そう。だから私は、「はい」って答えた。確かに、私はあの時「はい」と、きちんと答えた。
満足げに立ち上がったあめさんに手を引かれて一緒に帰ったのも、その時にいつものようにタクシーで送って貰ったのも、全部しっかり私は覚えている。
……でも。
「で?どういう事なの?やっぱりそういう事なの?それってそういう事じゃない!」
「トータルに考えてそれしか思い当たる節はないでしょ!」と、興奮した様子のユイを目の前に、私は只今半分お説教されている状態なのである。
あの日から私達は少し変わった。
いつもの4人で来店するあめさんと、その接客をする私。これは何も変わらない。でも、あめさんは帰りに待っていてくれるようになった。
私がバイトを終えて外に出ると、あめさんが店の階段の前で待っていてくれる。だから毎回一緒に帰っていて、それをユイも知っていて…今の状態である。
しかもそれだけではない。
他にもあめさんはいつもの階段の方にも来てくれるようになったのだ。前と同じく決まった曜日がある訳ではないけれど、前と同じようにそこで会えるようになって、会える日が格段多くなった。
それらを総合的に見て、君達は付き合っているのでは?と。ユイは騒いでいる。
「でも、付き合おうみたいな話はしてないよ」
「うん。でもそれっぽい会話はしたでしょ」
「…それっぽい会話?」
「 "ハルキだけを見るから、俺だけを見て" 」
「……」
「それで、はいって返事したんでしょ?」
「…うん」
「それから変わったんでしょ?」
「…うん」
するとユイはフフンッと自信有りげに笑い、「だったらそうゆう事ね!」と、何故か勝ち誇った様子だった。