あめさんの、気持ちを全て表したような、晴々と希望に満ちた笑顔。

いまいちよく分かっていない私だけど、あめさんが最後に言った、"俺もアイツも" という言葉で、ようやく意味が理解出来た。


…そっか、アサヒさん、吹っ切れたんだ…!


「ありがとうって」

「え?」

「アイツがありがとうって。んで、俺もハルキに感謝しろって。ありがとう」

「えぇ?!そ、そんな、私は別に…」

「てゆーか2人知り合いだったんだね」

「あ…えっと、まぁ」

「アイツ、嬉しそうだったよ」


そしてまたあめさんは私に、「ありがとう」と感謝を告げる。

そんな大層な事はしていないけれど、あめさんから向けられる真っ直ぐな視線に私は押され、「ど、どういたしまして…」と、もごもご答える。そんな私を見て彼はまた笑った。


あめさんは私に向かって、優しげな、柔らかな表情を見せて、問い掛ける。


「なんか今日変じゃない?ハルキ」

「え?!」

「なんか…落ち着きがない感じ」


「え?とか、あ、とかいつも以上に多いー気がする」と、彼は私をジッと覗き込む。

そんな彼の行動で浮ついた気持ちに拍車がかった私は、「そんな事ないですよ!」と、答えた声が上擦ってしまった。もちろん、こんな様子じゃあ『落ち着いてないです』と肯定したようなものだ。


あぁ、だめだ。


「……そんなの、しょうがないじゃないですか」


無駄な抵抗だとごまかす事を諦めた私は、あめさんの視線から逃れるように顔を背ける。
するとやっぱり返ってきた、「なんで?」という言葉。


「……だって、あめさんずっと来てくれなかったじゃないですか」

「うん?」

「だからその…ちょっと、緊張してるんです、2人だけなのに」