恥ずかしいのか、気まずいのか、アサヒさんはなんだか俯き加減にモゴモゴと口を動かす。なんだろうと耳を傾ける私へ向かって、突如顔を上げたと思ったら、その勢いのまま尋ねる。


「あたし達、友達?!」


真っ赤な顔をして言うアサヒさん。何がそんなに恥ずかしいのだろうと、思わず笑いながら、「はい、もちろん!」と私はハッキリ答えた。

パアッと顔を明るくする彼女は可愛い。ポカポカと胸が温まるのを感じる。


「じゃあ敬語も無しね!」

「はい!」

「はいじゃない」

「あ、えっと、うん!」



まるで初めて友達が出来た子供達のように、私達ははしゃいでいた。こんなに純粋に友達だ!って嬉しくなる気持ち、いつ振りだろう。
私のこの気持ちはきっと、今アサヒさんも感じてくれている。そんな気がしたら余計に嬉しくなった。


…そして、そんなやり取りは外まで聞こえていたらしい。


「もーういーかーい?」


呆れたように扉を開けたミトさんに、私達はまた顔を見合わせて笑った。今度の照れ笑いだった。


そんな私達を…というか、アサヒさんを見て、優しい表情をしているミトさん。そんなミトさんを早くアサヒさんが気付きますようにと、心の中で祈ったりした。


「それじゃあまたね、ハルキ。あ、そうそう」

「?」

「羨ましいなんて、もう言ってあげないからね」


笑顔のアサヒさんが去り際に、「ユウをよろしくね」と言った事、これは何を指しているのか、この時の私にはよく分からなかった。