普段の彼を知らないけれど、その基準で言われるととても心配になってくる。でも彼はそんな私の心配なんて気付きもせず、


「まぁ実は、これからちょっと用があるんだよねぇ」


なんて、伸びやかに、まったりとして…正に酔ってますの雰囲気を醸し出しながら言った。そういえばこれから用があるらしい彼は、またあの日と同じ黒いスーツを着ている。


「用事…ですか」


こんな時間で飲酒済み。それでこの後黒いスーツを着る必要がある用事って何?どう考えても一般人じゃないような…と、明らかに怪しまれている事に気付いた彼は、どうやら私の考えが読めたらしい。「そんな思ってるような仕事じゃないから」と、ゲラゲラと笑った。


「ハルキは?何でいつもこんな時間なの?」

「私はただのバイト帰りです」

「ふーん。居酒屋?」

「え、そうです。何で分かったんですか?」


まさか言い当てられるとは思わなくて驚いた。

こんな時間だから?少し匂うとか?色々思い当たる節はあるけれど、彼はニヤニヤ笑って「さぁ、何ででしょーう」なんて言って教えてくれそうな気配はない。

大した事でも無いのは分かっているけど、それが少し意地悪で、私はちょっと拗ねた。