私は本当は、何が知りたいのか。こんな風に、あめさんを責めるような言い方をして。
「えっと、私、あめさんの事を聞きに来て…」
私は今、どんな答えを必要としているの?あめさんに、なんて答えて貰いたいの?
「その、私、あめさんの気持ちが、知りたくて…」
そう、あめさんの気持ちが知りたくて来た。放って置けない相手があのアサヒだと知って、アサヒにはあめさんの事をとらないでと頼まれて、ミトさんからはアサヒを助けてって…それで、私は今、あめさんの事を聞く為にここに居て。
あめさんは私の質問に答えてくれている。でも私は満足していない。何故なら私はただ、否定して欲しくて質問をしているから。
「ねぇ、ハルキ。俺の事、ちゃんと見えてる?」
そんな嫌な私の事なんて、あめさんにはお見通しだった。
あめさんの事を聞きに来たはずなのに、嫌われる覚悟で来たはずなのに、結局私は覚悟の分だけ踏み出せていない。
あの日にアサヒの事を知ってからあめさんの顔が見れなくなった。今私はあめさんの事はあめさんに聞くと理由をつけて、遠回りしながらあめさんとアサヒの関係を探っている。ここには確かに二人の特別な関係を否定して欲しくて質問している私が居た。
そう、あめさんの言う通り、今の私にはあめさんが見えていない。アサヒの影がチラついて、そこにしか意識がいっていない。自分はなんて嫌な奴なのだろう。
折角あの時分かったのに。やっぱり私はあめさんだって…あめさんの事が好きなんだって。大切な気持ちだった、はずなのに。
「…俺、アイツの…アサヒの、半分をやってんだ」
黙り込んだ私に、突如かけられた言葉。その言葉に導かれて、私の視線はあめさんへと向けられる。
「アイツの曲、作ってんのは俺だ」
告げられたその事実は、世の中に出回ってはいけない類のものだった。