「…それは、この間とはまた違う答えですよね」


あめさんの言葉を聞いて、私が素直に思った事。


「この間、傍に居る事を選んだのはあめさんです。その方法が良いんだって選んだのは、あなたですよ」


そう。あめさんは、自分が傍に居てあげないとと、この間私に言っていた。それなのにそんな言い方。まるで間違った事をしている自分に、後悔しているかのような言い様だ。


「そんなの、」

「じゃあ、どうすれば良いんだ」


…その言葉は、きつく言い放たれた訳ではない。


「どうすれば俺達が先へ進めるのか、分からない」


ただポツリと、そこへ落とされたような呟きだった。

その "俺達" という言葉が表すものは、あめさんとアサヒさんの事。それくらい、私にだって分かる。
先に進みたいとあめさんは思っていて、その為に傍に居る決断をした。でもそれは上手くいかなったと、今言っている。

あめさんの言う先に進んだと思える状態とは、一体どんな状態を言うのだろう。何故、傍に居ても、何も変わらなかったのだろう。


「…じゃあ、どうしてその人は変わらなかったんだと思いますか?」


私の呟いた言葉に、あめさんの視線が私へと向けられる。


「どうして、望んだ通りにあめさんは傍に居たのに、先へ進めないままなのかと言ったら、向こうの望んだ形とは違ったから、という事では?」

「……」

「二人の間で "先へ進む" って、どういう事を言うと思いますか?」

「……」


責めるように言ってしまうのは私の方。私の方では、答えのようなものに辿り着いてしまっていた。

ーーつまりアサヒは、あめさんの事が好きなのでは?


するとあめさんは、ジッと私を見詰めたまま、


「どこまで知ってるの?」


――本当は、何が知りたいの?


真っ直ぐに見透かすような強い瞳で、私に問う。