あめさんと話す事は容易な事では無い。あの場所で会う事も無くなった今では、二人で会う事はもちろん、いつ会えるのかすら分からない状況だ。
……どうしよう。
あの日、私はハッキリ言い切って、ミトさんとの話を終えた。そして今、私に任せろ!と勢いで言ってしまった自分に少し、後悔中。これじゃあまた協力して下さいって言いづらい。何故あの時会えない状況をすっかり忘れていたのか!
どうにかしてあめさんに会えないかな…
何か、少し前にもこんな事で悩んでいた時期があった気がする。何がどう変わろうと、結局この距離感は変わらないんじゃないかなと思いつつ、私はアサヒの事を思い浮かべた。
アサヒとあめさん、二人の関係を考えると、私はどうしても余計に、私と彼の距離を思い知らされるような気持ちになってしまう。
きっと二人は、私が経験した事の無いような絆で結ばれているんだろうな。それを思う度に、暗い方向へ心が沈んでいく自分を否定は出来なかった。
でもダメだよと、私は自分を励ますように言い聞かせる。あの時アサヒに対して感じた気持ちも、ミトさんの言葉に答えた気持ちも、全て本物。私がこんなんじゃ、その気持ちはどうなるというのだ。
その為に、私が今やらなきゃいけない事。それは、ただ一つ。気持ちはもう、固まっているはずだ。
ーーそしてその晩、私は家を出た。向かった先は、あめさんがいつかは絶対に戻って来る場所。
彼の住む、マンションだった。