「…変わらない事実…」
その言葉の意味を理解しようと、私は無意識にその一言を口にする。するとミトさんは、そうだと頷いた。穏やかな様子だった。
「そしてそれが表すのはね、ハルキちゃん。君も、彼女に影響を与える人物の一人だという事なんだ」
「……え?」
「実感は無いだろうけど、ハルキちゃんの行動一つ一つが、彼女にも影響を与えてる。直接って訳ではないけど、それはすげぇ大きくて、今、あの子の中で一番大きな存在になってる」
「…いや、そんなまさか、」
「つまり、俺が何を言いたいかっていうとね」
戸惑う事しか出来ない私なんて関係なしに、ミトさんはきっぱりと言い切った。
「――ソレを良くするのも悪くするのも、全ては君次第って事」
「……」
ミトさんの言葉に、私は何て答えれば良いのだろう。
というか、私は今、何の話をしてるんだっけ…?
この話は何?つまり私って何?私は……だって、
「何も知らないって…言ってるのに」
思わず、そう呟いた。事の大きさすらよく分からないまま、どんどん話が大きくなっている。私の話なのに私がついていけない。
もう軽くパニック状態の私にミトさんは気付いてくれて、ふっと、優しい笑顔を見せた。
「必要な事は何でも答える。何でも力になる。だからハルキちゃんお願いがあるんだ」
「はい?」
――この時見せたミトさんの真剣な表情を、私はきっと忘れない。
「あの子を、助けてやってくれ」
それはミトさんの心の声だと、私は受け取った。