タイミングが良いのか悪いのか。そういう事に関しては、毎回絶妙なタイミングだと思う。

もちろんいつも通りに接客をしようと心掛けたけれど、どうにも気持ちが落ち着かず、時間通りに4人でやって来た彼らをいつもの席へと案内し、そそくさと裏に帰って来てしまった。


ダメだ、ダメだよこれじゃあ。何かありますって言ってるようなものじゃないか…

しっかりしろと、なんとか自分にそう言い聞かせて、私は彼らの元へと向かう。


きちんとアサヒの事で、ミトさんと話をしなければという緊張に、あめさんに会うのが何故か気まずいという緊張が更にのしかかり、私の足どりはとても重たかった。


しかし、そんな私の心境とは関係無しに、いつも通りにガヤガヤと、楽しそうに話をする彼らに胸をホッと撫で下ろし、私もいつも通りに声を掛ける事が出来た。

さて。ミトさんにはいつ話し掛けようか。

話している間もずっと頭の中はそればかりで、気が付けばミトさんをずっと目で追っている。もちろん見詰めれば話が伝わる訳では無いのは分かっているけれど、気付かれない程度に様子を見るくらい許して欲しい。

話したいけど話し出せなくて、心の中は一杯一杯だった。どうしよう。どうするべき?

いつものように金田さんのゲラゲラ笑う声が聞こえてくるけれど、何を話しているのかは頭に入らない。

昨日の事を説明して、会わせて貰えるようにお願いしてみる。そう、ミトさんにもどうするべきか聞いてみないと……あぁ、でも。


「――〜、――よな?」


私、ミトさんの事すらよく知らないんだから、そこから聞いてもいいのかな。ミトさんの事というか、何も知らないんだけど…あめさんの、事も…


「?、――ちゃん?ハルキちゃん?」


全部教えて欲しいんだけど…ミトさんは、教えてくれる?


「なぁ、ハルキちゃんってば!」