何故彼女がここに居るのか分からない。

でも今実際にここに、私の目の前に居る。

少ない街頭の薄明かりでも分かる綺麗な金髪を夜風になびかせ、彼女は私にクリッとした大きな目を向けている。


「……本物?」なんて、思わず確認をした。別に疑ってる訳じゃない。夢か現実かを確かめる為に頬をつねるような、あれに近い行動だった。答えなんて、分かりきっている。


「……そのつもり」


ほらやっぱり。こんなに綺麗な人がそう何人も居る訳がない。彼女の答えを聞いた瞬間、誰に言うでも無いけれど、そう思った。完璧に、私は舞い上がっていた。


「そんなに見ないで…欲しいんだけど」


恥ずかしながら、そう言われるまで気付かなかった。いつの間にか大きく一歩、距離を詰めていた私は、目が乾くのもお構い無しに彼女を見詰めていたみたいだ。だって瞬きした瞬間、ちょっと目がしみて痛かった。


「あ、すみません…」


小さく謝り、彼女から視線を逸らす。何してるんだろう私…これじゃあただの変態じゃないか。

「本当にすみません」と、反省に反省を重ねてもう一度謝った。こんな風に見られて良い気分がする訳ない。一応その気持ちは私にも分かるつもりだ。

彼女は、「そんなに謝ってくれなくても良い」と、不機嫌そうに呟いた。