この楽しい空間が、私の心をポカポカと暖かくした。この中に居るあめさんがなんだか生き生きとしていて、私は嬉しかった。だから、


「なんか…母親の気分」


私の口は、勝手に動いていた。心の中で呟いたつもりだったそれは、実際に口から音になり、言葉として飛び出ていたみたいだ。

何故それに気付いたのかというと、周りの視線がピタッと私に向けられたから。


「…母親?」

「はい?」

「え、母親?」

「あー、はい」

「何?誰?誰の?」

「……あ、」

「あ?」

「……あめさん」


そう私が答えた瞬間、皆の視線が一斉にあめさんへと集められ、注目の的の本人はというと…どうやら、子供扱いされた事に気付いたらしい。先程の笑顔は不満気な表情へとすっかり変わってしまっていた。

…うん。もうどうしようかと思ったけども、うん。


「あ、あははは」


ここは、笑って誤魔化すしかないだろう。

しかし長くはもたない。次は何を言われるのだろうと考えると渋い笑顔しか出来ない私に向かって、金田さんは言った。


「でもソレ、分かるわー」

「…はい?」


わ、分かる?

何がだと、顔にガッツリ書いて私は金田さんを見る。すると彼は無邪気な表情を私に向けた。


「カノジョっつーか、オカアサン」