この懐かしい可愛らしさ。


「あの…今すでに出来上がってます?」


ミトさんに小さな声で尋ねると、ミトさんは「いーや、まだまだ」なんて答えたけど、正直半信半疑だった。時間的に案外経っているし、結構飲んでそうだったけどなぁと、ニコニコしてお酒を飲むあめさんを私は眺めていた。


「あめさん?」

「?」

「それってユウの事?」

「?、ユウって…あ、そうですそうです」


金田さんの言葉で思い出した。あめさんと呼んでいるのは私だけで、ミトさんはユウと呼んでいると言っていた。


「金田さんもそう呼んでるんですね」


私の言葉に金田さんは、「そういう事情もやっぱ知ってんだ」と、驚いた様子みせた。



「そう。やっぱ合わせねぇと呼び辛いじゃん?」

「ん?何がですか?」

「呼び方呼び方。奴のね」

「え、じゃあ前は違ったんですか?」

「まぁね。確か名前は…一郎?」


そう金田さんが言うと、高松さんがぶはっと笑って「いや、二郎じゃね?」なんて言う。


「あ、俺が二郎でお前が一郎だっけ?まぁどっちでもいんだけどよ、そんでてっきり俺は双子か何かなんだと思っちまってさ。大恥かいたっつー事があんのよ」


金田さんが拗ねたように言うと、「あん時のお前のアホ面は傑作だったよな」と高松さんもゲラゲラ笑い、全くだと、ミトさんも笑い出した。

するとそれを静かに聞いてたあめさんはクスッと小さく笑い、「悪ぃな」と呟く。


「んじゃあ次からはジョニーにすんわ」


なんて気取ったように言うあめさんに「そりゃあいい!」と、また大きな笑いが起こった。


私はその光景を、ただ楽しそうだなぁと眺めていた。