まさか、本当に来るなんて…つまりそれって、
「…あめさん…も?」
ミトさんの後ろに立つ金髪の彼に向かって声をかけた。
あれ以来、初めて会うあめさん。そんなあめさんに少し緊張していたりするのだけれど、彼は、「そうだよ」と、一言だけ答えて、ふいっと目を逸らした。私はその態度に軽くショックを受ける。
するとそこですかさず入った、「今日まだシラフだから。そのうちまたいつも通りだよ」というミトさんの小さな声でのフォローも、ショックを受けている最中の私の耳では、簡単に通り過ぎていってしまう。
「お待ちしておりました、ご用意が出来ております」
しかしこちらの声はすぐに耳に入った。奥からやってきた店長が、彼らをご案内するよう指示を出した事で、ハッと我に帰る。そうだった。私、バイト中だった!
「ご案内します、こちらへどうぞ」
予約をしていたのがあめさん達だったなんて…知り合いに仕事をしてる姿を見られるのは、どうも落ち着かないものだ。席に案内してから飲み物のオーダーを取り、そそくさと私は裏へ帰った。するとそれを待ち構えていたのは、ユイだった。
「ちょっと、ハルキ!」
「ん?」
「何?知り合い??」
「んー、まぁそうなんだけど…」
「ちょ、凄いカッコイイじゃんよ!」
目を輝かせた彼女がそう言うので、「うん、そうだよね」と、素直に私も同意をする。
そして、
「例のあの人、なんだよね」
そう告げた瞬間、ユイの表情がすっと変わり、奥の席へと遠慮も無しに目をやった。