二人で店長に視線を向けると、店長の表情がいつも以上ににこやかだった。いつも穏やかなうちの店長は、元気で若々しい女性。36、7才だと思っていたのに実は48才だと聞いて、驚きを飛び越えた覚えがある。


「なんか若い男の人らしいよ」

「え、なんで分かるの?」

「直接店に来たんだって。だからなんだよ、あの笑顔は」


そう言われてもう一度店長の方へ目をやると、ニッコリ笑って「何?」と、気づかれた。慌てて「なんでもないです!」と告げると、私は急いでユイに視線を戻す。


「……うん、なんか店長生き生きしてるね」


私がそう呟くと、ユイはうんうんと頷く。


「でもさ、若いだけじゃなびかない面食いな店長をあそこまで喜ばせるなんて…」

「なんて?」

「……超楽しみ」


キラキラと目を輝かせてユイは言った。こちらも店長に負けず劣らずの面食いである。

大好きな彼に言いつけるぞ、なんて思いながらも、入口の開く音が鳴り、そのまま私達は各々仕事に移った。

そして、だんだん忙しさが増し、予約の事が頭から離れ始めていた、その時だった。彼らが、現れたのは。


「いらっしゃいま、」


思わず、目が点になる。アレ?何かの間違い?と、私は自分自身に問い掛けたりもした。

いらっしゃったのは、若い4人の黒いスーツを着た男性。そして、見知った顔が二つばかりあるような…


「お?居た居たハルキちゃん!」

「ミ…ミトさん……ですよね?」


本人なのは分かっている。でも私は聞かずにはいられ無かった。これは本当なの?現実なの?という意味を込めて、確認の疑問符である。そんな私の問いに、返ってきたのは、


「え、違う時もあんの?」


ケラケラと笑うミトさんの、ミトさんらしい返事だった。