その言葉は、以前あめさんに言われたソレと、とてもよく似ていた。よく似ていたから、私は妙に納得してしまった。あぁ、この人もあめさんの仲間なんだ、と。
そう気付いたら、私は自然と車を降りてドアを閉めていた。それもそうだなと、受け入れられたからかもしれない。
「今度ハルキちゃんとこの店、行くからねぇ」
家に入る前、車の中から窓を開けて、ミトさんは言った。このただの社交辞令とも取れる言葉が現実になるのは、割とすぐの事だった。
その日は着いて早々、「今日は予約が入ってるからね」と、店長からのお達しがあって、珍しい事もあるもんだなと驚いた。他の店ではどうか知らないけれど、うちの店では珍しい。なんといっても立地がコレだ。人通りの無さなら誰にも負けない。
だからいつもお客さんといえば大半が見知った顔で、つまり常連さんばかりだった。それが予約だなんて。
ホールへ出てみると、奥の部屋にはすでに予約席として用意がされている。きっともうそろそろお見えになるんだろう。
どこかぼんやりと人事のように考えていると、「おはよ〜」と声をかけられる。振り返るとやっぱり、ユイだった。
「おはよう。なんか予約らしいね、珍しい」
「ホント、店長気合い入ってんもんね」