それはつまり、今まで通りに戻っても良いのかと私に尋ねている、という事。自分は前と違う立場に居るけれど、私とのそれはこのままでも良いかと言っている。

私は、何がどうある事が正しいのかなんて分からない。でも、


「何処に居たって大丈夫です」


もうこの気持ちしか、頭にない。


「私は、何処に居てもあめさんの味方です」


この気持ちは、何なんだろう。何か、とても大きなこの想いは――何だろう。私はこれが間違っていないと信じたい。そしてこれからまたあめさんと改めて向き合っていきたいと、心に決めた、その時だった。


ピーンポーンと、室内にインターフォンの音が鳴り響き、こちらの返事も待たずに開かれた玄関の扉。

そんな状況に、え、何?誰?と戸惑う私を余所に、家主は何の感情も抱いてないようだった。まるでいつもの事だとでもいうようで、そんな彼を見て私は益々焦りを覚える。


つまり、今来た人は彼の深い知り合いだって事でしょう?それってもしかしてと、頭を過ぎるのは、今の今まで話題に挙がっていたその人。放っておけないその人かもしれない。

だんだん近付いてくる足音に、緊張の高まりから身を構えて、目の前の扉が開くのを待つ。

そして止まった足音のすぐ後、凝視したそこが、ゆっくり開かれーー


「…ミトさん?」