「で、そんな時、ハルキに会った」
「……え?」
「ハルキに会ったあの頃、調度俺自身の意味が分からなくなって迷ってた時だったんだ」
私に視線を向けるあめさんは、なんだか恥ずかしそうな、それでいて気まずそうにしている。あめさんの言う私と会った時って、あの…雨の日…?
「あの時、何も知らない君が俺を見つけて、俺の事を考えてくれた事が、なんか嬉しかった。あ、俺の事分かるんだって」
そして、「意味分かんないんだけど、なんか俺が消えちゃうような感じがしてたんだよね」なんて、彼は笑って言った。
「そしたらそれを確認するみたいに、ふらっと足が向いたってゆうか。それからそこに行くのが楽しみになって、疲れるとハルキん所に行くようになった」
…あの時の、私の押し付けがましいとも思えたあの行動。まさか、あの行動が、こんなにもこの人に影響を与えていたなんて。
自然に「そうだったんだ…」と、感慨深い気持ちで呟いていて、それに対してあめさんが「そう。ハルキには凄い助けて貰った」なんて答えたものだから、私はなんだか勝手に嬉しくなった。
でも、そんな私とは対照的に、あめさんの表情はとても、堅い。
「…ハルキに、甘えてた」
そう聞こえて来た時には、私へ向いていた視線はどこか遠くへと向けられていた。
「それは何の為なんだって聞かれたんだよな、アイツに」
「…?」
「自分の為か、ハルキの為かって」
「……」
「もちろん俺の為だった。別に悪い事だとは思って無い。でも、そしたらアイツは言ったんだ。だったら、自分の方が俺の為になるのにって。ハルキにとって俺の代わりは沢山居るけど、自分には居ない。なのになんでこっちに来ないんだって」