すると、そんな私に彼は笑いながら「確かに」と頷いてみせて、更なる追い討ちとして、実はあの時迎えを呼んでいたという事実を明らかにした。

…もう本当に、消えてしまいたい…恥ずかしさのあまり悶える私を、彼は楽しそうにニコニコと眺めていた。どこまでも機嫌が良さそうである。


「ねぇ、傘の子」

「は、はい…」

「でも俺、嬉しかったよ」

「…本当ですか?」

「ホントホント、思わぬプレゼントって感じ」

「……プレゼント…では、ありますね…」


帰さなくていいからと貰った傘を、プレゼントと思ってくれているとは…大丈夫かなと、ニコニコしてる彼を少し心配に思う。もっと良いものをプレゼントしてあげるのに。あんまり貰った事無いのかなぁ、なんて失礼な事を考えていると、彼はまた質問を繰り出してきた。


「傘の子は、帰り?」

「はい、帰りです」

「そっか。俺も帰り」

「そうなんですか」

「うん。でも気をつけてね、もう遅いから」

「はい、気をつけます」


この間と打って変わってにこやかな表情の彼は、なんだか饒舌だと思う。


「ねぇ、傘の子」と、また彼は口を開く。