「そういえば、宮橋のやつは冷静でしたよ。すぐに電話を切りやがった」

 彼はそう言って、憎たらしげに舌打ちした。

 県警が『首無し事件』に大騒ぎしている間に起こったとある事件で、彼らは急きょ新人同士のパートナーとして組まされ、素晴らしい速さで事件を解決へと導いた。それ以来、たびたびコンビで仕事に回されたが、能力以外はまるで相性が悪い組み合わせで、それは今でも変わっていない。

 当時、宮橋と三鬼と同期のメンバーは、署内でも騒がしい連中だとして知られていた。弁当のおかず一つで若い連中を巻き込んだ争奪戦を起こし、同期の男が趣味にしていたガンプラのコンテストを、宮橋が勝手に開いて無断で廊下にズラリと並べたり、巡査部長を捨ててパトカーで暴走族とカーレースを繰り広げた事もある。

 すると、女性捜査員が、印刷した第四の殺人現場の画像をテーブルに置いた。
三鬼はそれを見下ろして嫌悪感を露わにし、大きな吐息をこぼして、疲労がたたっている目元を押さえる。現場の悲惨な光景に言葉も出ない藤堂の向かい側で、小楠が苦々しい顔をした。