「やはりキーマンは、N高校の一学年在籍の生徒『ヨタク』だ。死ぬのは、彼に関わった八人の学生で、もう四人目の被害者が出ているだろう」
「え、四人目の被害者? というか関わった八人の生徒って……あの、図書館でどうしてそんな事が分かるんです?」

 だって四人目の被害者が出たという連絡は入っていないし、一体どこから八人という数字が出たのかも不明だ。しかも、『ヨタク』という名字は、彼が気になると言っていた苗字ではないだろうか?

 真由は、隣に追い付いた彼の横顔を見上げた。顎に手をあてて一人考えるように、宮橋は「代償の補い行為が『条件』」「つばきば」「しかし一体どの『物語』だ?」とよく分からない事を口の中で呟いていて、こちらの質問を聞いていない様子だった。

 ふと、彼と過ごしていて、ずっと感じていた違和感の一つに気付いた。思い返せば、彼には一人で突っ走っているような行動や言動で謎が多く、こちらがそれを理解したくて求めても、一度も明確に回答してくれていない。