「予定変更だ。知りたい情報が出来た。このまま県立図書館に向かう」
「えぇぇッ、事件の捜査の真っ最中ですよ!?」

 時間がないと言ったのは誰ですか、と真由は言い掛けたが、それよりも速く宮橋が射抜くような視線を寄こした。

「いいか、君は僕に従うと約束したはずだ」

 強く言われた真由は、気圧されて何も言い返せなくなった。確かに、そう約束した事を思い出して口をつぐむ。

 宮橋が慣れたようにギアを変え、そのままアクセルを踏み込んだ。時速四十キロの道路を五十キロで走行する黄色いスポーツカーが、次々に前の車を追い越していって、真由は我が身を守るシートベルトをぎゅっと握りしめた。

「あの、ただ図書館に寄るだけにしては、ちょっと運転が荒くないですかね……?」

 宮橋は、こちらの呟きにも目をくれなかった。商店街を進んだところで右折すると、三車線の県道へと入って車を時速六十キロで走らせ、続いて再び荒々しくハンドルを切って、今度は国道へ出たところで、すぐに左の一般道へと降りてしまう。