「その『金髪の少年一向』については、N高校の一年生に尋ねるのが手っ取り早いだろうが、先に他の誰かがその情報を得るだろうし、その件に関して僕らが動く必要はないだろうな」
「どうしてそう思うんですか?」

 宮橋が強い確信を持って呟いたので、真由は心の底から不思議になってそう尋ねた。

 すると、彼は先程来た道を戻るように大きな交差点を左折したあと、こちらを横目に見てニヤリとした。

「刑事の勘ってやつさ。君よりも、経験が長いからな」
「はぁ、なるほど……?」

 これ以上続けると小馬鹿にされる予感がして、真由は視線を正面に戻した。

 宮橋の運転する車は、街の表通りを走行し、制限時速四十キロの緩やかな流れの中を進んだ。会話もないままの時間が続いて、比較的安全に運転し続ける宮橋をちらりと盗み見る。

 彼は表情なく正面を見据えていた。彼越しに見える反対車線には、こちらと同じように快適に走る車が、一定の車間距離を開けて続いているのが見えた。