「宮橋も来ていたか?」
『はい。とはいえ、すぐに出ていきましたけどね。今回は、珍しく防犯カメラの映像も見ていきませんでした。こっちの現場も、不審な点が多いです。俺も、これまで色々と妙な事件に遭遇してきましたが、なんだかヤバい感じがします』

 三鬼の不慣れな敬語言葉を聞きながら、小楠は持っていた写真を台の上に放り投げた。メールで送られてきた画像を印刷した、三番目の現場写真へと目を向ける。

「こちらで今、写真をチェックした。宮橋は何か言っていたか?」
『俺にはまるで理解不能なんですが、天井についていた血痕は引きずられて持って行かれたとか。他にも色々言っていましたが……なんだったかな』

 電話の向こうで、三鬼が思い出せず言葉を濁した。

『そうだ、天井の写真も撮って送ったと思うんですが、そっちに出てます?』

 小楠は、テーブルにある写真の上へと視線を巡らせ、太い血の線が壁際で不自然に途切れているものに目を留めた。

「ああ、今確認している。他には何かあったか?」