『画質がしばらく下がったが、特に問題はなかったぜ。そもそも、お前がビデオチェックしないなんて珍しいな』
「ちょっとした諸事情でね、推測される範囲の危険は、今は回避しておこうかと」
『なんだそりゃ?』
「君が昔に言ったんじゃないか。あの事件で、馬鹿みたいに僕を引き留めて」
『…………』
「そして僕は、君の今の『なんだそれは』の質問には答えない。――肉眼よりも、君らの場合は、防犯カメラというフィルターを通した方が、色々と見えると思ったんだけどなあ」
シートにもたれたまま、宮橋はぼんやりと車窓から青空を見やって言葉を紡いだ。三鬼の『はぁ?』という疑問の声を無視し、優雅に長い足を組んで右手で柔らかな髪をかき上げる。
「まあ、よく分からなくてもいいさ」
宮橋は、話題を変えるように言って、声の調子を戻してこう続けた。
「そういえば、被害者はかなり気性の激しい集団だったみたいだね。君は知っているのか? 彼らのせいで、どれだけの人が迷惑を被ったか」
「ちょっとした諸事情でね、推測される範囲の危険は、今は回避しておこうかと」
『なんだそりゃ?』
「君が昔に言ったんじゃないか。あの事件で、馬鹿みたいに僕を引き留めて」
『…………』
「そして僕は、君の今の『なんだそれは』の質問には答えない。――肉眼よりも、君らの場合は、防犯カメラというフィルターを通した方が、色々と見えると思ったんだけどなあ」
シートにもたれたまま、宮橋はぼんやりと車窓から青空を見やって言葉を紡いだ。三鬼の『はぁ?』という疑問の声を無視し、優雅に長い足を組んで右手で柔らかな髪をかき上げる。
「まあ、よく分からなくてもいいさ」
宮橋は、話題を変えるように言って、声の調子を戻してこう続けた。
「そういえば、被害者はかなり気性の激しい集団だったみたいだね。君は知っているのか? 彼らのせいで、どれだけの人が迷惑を被ったか」