正方形の白いテーブルの、ほとんどを染める赤、赤、赤……。そこには、捻じ切られた腕が乗っていて、残りの『部位』がちぎり捨てられたみたいに散乱している。

 室内は、むっと蒸せるように生温かい。真新しい血の匂いが溢れ返っていて、嘔吐してしまいそうになる。テーブルからは、未だに血が滴っていた。

「死後、数十分ってところだろうな。入店記録は、今から五十分前だ」

 三鬼は、苦い顔でそう言った。情報を提供された宮橋が「そうか」と静かに答えながら、入口に立ったままじっと室内を眺める。

「こんなの、尋常じゃねぇよ。第一、第二と、続くほど酷くなってやがる」

 実際に両方の現場も見ていた三鬼は、悔しさを滲ませた。目の前に広がる光景は、どれも人間の犯行を思わせないでいる。

 黒いソファに、色も分からない液体がてらてらと光った。室内にぶちまけられた大量の血液が、薄暗い照明に重々しく浮かび上がっている。大型テレビの上には、どこの部位なのか分からない肉片もあった。