「三鬼先輩、またやってるや」
「あの二人、いつもあんな感じなんですか?」
「うん。どっちかというと、いつも先輩の方がつっかかっているような感じかな。宮橋さんって、確かに不思議な人だけど、色々と事件解決に貢献しているし、俺はちょっと一目置いているんだけどなあ」

 宮橋とは数十分前に会ったばかりだった真由は、「はぁ」としか答える事が出来なかった。確かに、彼の態度を見ていると、その横暴にも似た言動にも自信が溢れていて、一見すると頼もしい先輩に見えなくもない。

 あの小馬鹿にするような俺様性格でなければ、ではあるけれど。

 カラオケ店の幅の狭い階段を上がると、二階部分に店内へ入るための自動扉があった。四人は、カラオケ店のロゴが入った緑のマットを踏んで店内へと進んだ。

 入店し同時に、外の熱気が遮断されて、涼しい空気に全身が包まれた。客はすべて外に出されたのか、広いフロアには不安そうな表情を浮かべた数人の店員と、捜査のための道具等の準備を進めて、待機している警察関係者らがいた。