二人は今、先程発覚した第三の殺人現場へと向かっていた。

 向かう先は、都内の中心にあるカラオケ店である。署を出た際、「僕の命令には絶対だ」と再び念を押された真由は、「とろとろと運転されるのはごめんだ」という事で、自分の車を置いて彼の車に乗り込んでいた。発進して即、それを後悔した。

 宮橋の運転は荒かったが技術は正確で、現在のところ、彼の黄色いスポーツカーには一つの外傷も付いていない。

 署を出てからの入り組んだ道で、よく誰もはねなかったものだと真由は思った。いくつかの近道を、彼は「右だ」「今度は左かな」と、反射的に決めたみたいな陽気な様子でハンドルを切っていたからだ。

 車は、大きな国道に入って五分ほどで、急ブレーキに近い減速がかかった。宮橋はレーサー顔負けの技術でスポーツカーの後輪を滑らせると、そのまま車頭を直角に向き変え、同時にギアを切り替えて中道へと乗り込んだ。

「うっそ!? ちょ、待ってなんでそんな無駄に運転技術あるのよおおおおお!?」

 真由の叫びがむなしく車内に響き渡る中、車は細い裏道を高速で走り抜けた。途中、やや減速して一列に並ぶパトカーを追い越すと、そのまま人が集まっている場所へと一直線に突っ込むみたいに進んだ。