「切断面は荒い。捻じれ切れている部位もあった。そしてここが奇妙なんだが、二人の被害者の身体の一部がなくなっている」
「ふぅん?」

 彼はこれにも、特に表情を変えなかった。真由は聞いているだけで、背筋に悪寒を覚えて思わず身震いしていた。恐ろしい事件が、実際自分の関わるところで進行しているのを実感したからだ。

 これから、捜査一課に移って初めてとなるこの事件に携わると思うと、真由は正直言って怖かった。しかし、被害者の事を思ってどうにか自分を奮い立たせ、気丈な声でこう尋ねる。

「異常殺人って事ですか? 立て続けに短い間に反抗が行われているのなら、これで終わりとは考えられないですよね……?」
「俺たちもそう考えて、今必死で動いている」

 小楠が、苛立った声でそう言った。

「被害者がつるんでいたメンバーを、ひっきりなしに呼びだして関係を調べているところだ。あそこまでひどい殺し方だと、顔見知りの怨恨の線が強い。まずは犯行方法と凶器の特定だ。厄介なのは、奴がつるんでいたメンバーの特定が遅れている事だな。なかなか捕まらん」

 小楠は、そこで言葉を切ると、先程から何か考えている宮橋へ視線を向けた。