「ところで、宮橋はまだか?」
「あいつの事だから、今日は何もないと踏んで『ゆとり出勤』でもして来るんじゃないすかね」
片足を軽く組んだ三鬼が、サンドイッチの袋の開封に取りかかりながら言う。椅子に座った藤堂が、慣れたように袋を開けて、早速サンドイッチを口に放り込んだ。
その回答で察した小楠が、「ふうむ」と悩ましげに眉を寄せて、こちらを見下ろしてきた。少し腹が減っていた真由は、サンドイッチにパクリとかぶりつきながら目を合わせる。その思案するような沈黙を見て取り、二人もチラリと彼に目を向けた。
「三鬼と藤堂とは、随分打ち解けているようだしなぁ。もしもの時は、しばらく慣れるまで三人コンビで面倒を見てもらって――」
「勝手な事をされたら困るな。彼女は僕の相棒だぞ、小楠警部」
不意に、この場にはいなかったはずの声が聞こえて、小楠が言葉を切った。三鬼が「ごほっ」と一口目のサンドイッチに咽て、二個目に手を伸ばしていた藤堂が「またいつの間に!?」と驚いたように振り返る。
真後ろからしたいい声に、真由もびっくりしてしまった。けれど、振り返ろうとした矢先、後ろから伸びてきた白い手にガシリと顎を掴まれていた。
ぐいっと横を向かされ、思わず「ぐぇっ」と色気のない声を上げた直後、眼前にある美麗な男性の顔に目を丸くした。そこにいたのは宮橋で、彼は初対面時と変わらない自信たっぷりの笑みを浮かべて、鼻先の距離からこちらを覗き込んでいる。
「あいつの事だから、今日は何もないと踏んで『ゆとり出勤』でもして来るんじゃないすかね」
片足を軽く組んだ三鬼が、サンドイッチの袋の開封に取りかかりながら言う。椅子に座った藤堂が、慣れたように袋を開けて、早速サンドイッチを口に放り込んだ。
その回答で察した小楠が、「ふうむ」と悩ましげに眉を寄せて、こちらを見下ろしてきた。少し腹が減っていた真由は、サンドイッチにパクリとかぶりつきながら目を合わせる。その思案するような沈黙を見て取り、二人もチラリと彼に目を向けた。
「三鬼と藤堂とは、随分打ち解けているようだしなぁ。もしもの時は、しばらく慣れるまで三人コンビで面倒を見てもらって――」
「勝手な事をされたら困るな。彼女は僕の相棒だぞ、小楠警部」
不意に、この場にはいなかったはずの声が聞こえて、小楠が言葉を切った。三鬼が「ごほっ」と一口目のサンドイッチに咽て、二個目に手を伸ばしていた藤堂が「またいつの間に!?」と驚いたように振り返る。
真後ろからしたいい声に、真由もびっくりしてしまった。けれど、振り返ろうとした矢先、後ろから伸びてきた白い手にガシリと顎を掴まれていた。
ぐいっと横を向かされ、思わず「ぐぇっ」と色気のない声を上げた直後、眼前にある美麗な男性の顔に目を丸くした。そこにいたのは宮橋で、彼は初対面時と変わらない自信たっぷりの笑みを浮かべて、鼻先の距離からこちらを覗き込んでいる。