真由は、震えそうになる足に力を入れた。「そんな」「嫌よ」「どうして」という言葉が、覚醒したばかりの頭をぐるぐると回っている。
眠っているだけのようにしか思えない智久の頬にそっと触れると、まだほんのりと暖かかった。まだ死んでない、と事実を否定したかったけれど、それは無理だった。
その幼さが残る身体には、死後硬直の様子も見られた。彼の身体は、全ての活動を停止させて、ゆるやかに人間らしい温もりを失っていっているのだ。
「どうして……? なんで……?」
崩れそうになる彼女の背中を、小楠が静かに受け止めた。鑑識の男、小森(こもり)が悲しそうに首を横に振って、視線を智久へと向ける。
「どこにも外傷は見られず、原因は不明です。午前二時半頃、宮橋さんが彼に会いにきてそれが発覚しました」
別れ際に、智久に美味しいものを食べさせてあげてくれと言っていた彼が、第一発見者となったのだ。真由は遅れてそれに気付き、自分だけが悲痛に暮れている場合でもないのだという気力を起こして、どうにか潤んだ瞳を持ち上げた。
眠っているだけのようにしか思えない智久の頬にそっと触れると、まだほんのりと暖かかった。まだ死んでない、と事実を否定したかったけれど、それは無理だった。
その幼さが残る身体には、死後硬直の様子も見られた。彼の身体は、全ての活動を停止させて、ゆるやかに人間らしい温もりを失っていっているのだ。
「どうして……? なんで……?」
崩れそうになる彼女の背中を、小楠が静かに受け止めた。鑑識の男、小森(こもり)が悲しそうに首を横に振って、視線を智久へと向ける。
「どこにも外傷は見られず、原因は不明です。午前二時半頃、宮橋さんが彼に会いにきてそれが発覚しました」
別れ際に、智久に美味しいものを食べさせてあげてくれと言っていた彼が、第一発見者となったのだ。真由は遅れてそれに気付き、自分だけが悲痛に暮れている場合でもないのだという気力を起こして、どうにか潤んだ瞳を持ち上げた。