真由も『小楠のおじさん』を労うように、彼の後に続いて立ち上がり、声を掛けた。
「お疲れ様です、小楠警部」
「ああ、異動早々に御苦労だった、真由君。すっかり残業になってしまったな」
小楠は小さく笑ったが、目には疲労が浮かんでいた。
「今日は、もうゆっくり休んだほうがいいと思いますけれど、まだ帰れない感じなんですか?」
「まぁ、今日中にやっておかなければならんことがあるからな」
真由がちょっと心配になって尋ねると、小楠は上司の顔に、少し親しみを滲ませて見下ろした。勤務中は態度に出すまいと思っていても、気が緩んでつい友人の娘を気にかけてしまう。
ふと、真由は朝にもらった指示を思い出して「あ」と声を上げた。足元に視線を向けて、記憶を手繰り寄せる。
「そういえば私、『一人にするな』と言われていたのに、ずっとは宮橋さんについていられなかったな……」
「『相棒として』ということであれば、常に傍についているだけじゃないから大丈夫ですよ。先輩たちが、一番効率よく動けるようにサポートするのも大事です」
二年先輩として藤堂が教えると、小楠が「その通りだ、真由君は十分にやってくれたと思う」と相槌を打った。
「お疲れ様です、小楠警部」
「ああ、異動早々に御苦労だった、真由君。すっかり残業になってしまったな」
小楠は小さく笑ったが、目には疲労が浮かんでいた。
「今日は、もうゆっくり休んだほうがいいと思いますけれど、まだ帰れない感じなんですか?」
「まぁ、今日中にやっておかなければならんことがあるからな」
真由がちょっと心配になって尋ねると、小楠は上司の顔に、少し親しみを滲ませて見下ろした。勤務中は態度に出すまいと思っていても、気が緩んでつい友人の娘を気にかけてしまう。
ふと、真由は朝にもらった指示を思い出して「あ」と声を上げた。足元に視線を向けて、記憶を手繰り寄せる。
「そういえば私、『一人にするな』と言われていたのに、ずっとは宮橋さんについていられなかったな……」
「『相棒として』ということであれば、常に傍についているだけじゃないから大丈夫ですよ。先輩たちが、一番効率よく動けるようにサポートするのも大事です」
二年先輩として藤堂が教えると、小楠が「その通りだ、真由君は十分にやってくれたと思う」と相槌を打った。