時刻はすでに、午後の九時を回ったところだった。藤堂が自動販売機にお金を入れ、点灯したボタンの一つを押した。がこん、と音がして缶が落ちてくる。
彼が膝を折る様子を眺めていた真由は、携帯電話へ視線を戻した。鳴らぬ携帯電話には、メールの一つも入りはしない。
「宮橋さんからの電話でも、待っているんですか?」
言いながら、藤堂が隣に腰を降ろしてきた。図星だった真由は、けれど言い訳も出来ずに「うん」と答えて、ぎこちなく笑い返していた。
初対面をした時に、小楠に言われて、お互いの電話番号とメールアドレスは交換していた。けれど、一度もやりとりはないままだった。
「宮橋さん、病院に行ったって三鬼さんからは聞いたんですけど、その、どうなったのかなぁって……」
「うーん。あの人、署で一番自由な人だからなぁ。多分、連絡はないと思いますよ」
言いながら。彼が缶コーヒーを開けた。
今日一日を過ごしてみた中で、恐らくはそうなんじゃないかなとは推測していた。その返答を聞いて、やっぱりそうかなぁと思うものの、連絡がきて欲しいなとも感じてしまう。
彼が膝を折る様子を眺めていた真由は、携帯電話へ視線を戻した。鳴らぬ携帯電話には、メールの一つも入りはしない。
「宮橋さんからの電話でも、待っているんですか?」
言いながら、藤堂が隣に腰を降ろしてきた。図星だった真由は、けれど言い訳も出来ずに「うん」と答えて、ぎこちなく笑い返していた。
初対面をした時に、小楠に言われて、お互いの電話番号とメールアドレスは交換していた。けれど、一度もやりとりはないままだった。
「宮橋さん、病院に行ったって三鬼さんからは聞いたんですけど、その、どうなったのかなぁって……」
「うーん。あの人、署で一番自由な人だからなぁ。多分、連絡はないと思いますよ」
言いながら。彼が缶コーヒーを開けた。
今日一日を過ごしてみた中で、恐らくはそうなんじゃないかなとは推測していた。その返答を聞いて、やっぱりそうかなぁと思うものの、連絡がきて欲しいなとも感じてしまう。