大通りに出た。

 人の多い流れの中を、三鬼は不貞腐れた顔でポケットに手を突っ込んで歩き、その後ろを、智久と手を繋いた状態で宮橋が続く。

「おい、三鬼」
「なんだよ、宮橋」

 声を掛けられて、三鬼は肩越しにさりげなく目を向ける。

「小楠警部が今、彼らと別の車で近くを走っているはずだ。用意させている車より、そっちの方が早く『僕らの近くを走る』から、向こうに与魄少年を乗せよう」

 宮橋は、聞こえるような声量でそう言った。

 怪訝そうな顔を向けたが文句は言わず、三鬼は携帯電話を取り出した。上司の小楠とは、すぐに連絡が繋がった。

『ちょうど連絡を取ろうとしていたところだ。こっちから向かった方が、早いと思ってな――とはいえ、タイミングがいいな。また宮橋が言ったのか?』
「いつも通りっすよ。まるで見えているみてぇに、指摘してきやがりました」

 そんな事あるはずがない。直感が、やけにいい男だとは思う。

 三鬼は少し小楠と話し、宮橋が口にしていた『彼ら』というのが、一緒に車に乗っている真由と藤堂であると気付いた。どうやら、他のベテラン組の捜査員が忙しくしていたため、運転手は藤堂が務めているらしい。