少年――智久の瞼が、宮橋の言葉に反応するようにピクリと震えた。宮橋は壊れやすい物に触れるように慎重な指先で、もう一度彼の前髪をかき上げて、それから生きているのを立顰めるみたいに、柔らかな白い頬に触れた。

「ほら、起きたまえ。すべて終わったんだ」
「本当ですか……? 上手く、いった……?」

 目覚めたばかりの掠れ声で言い、智久がゆっくりと目を開いた。寝ぼけ眼で、自身を覗きこんでいる宮橋の顔を目に留めて、ふと「ああ、あなたは、こんな顔をしていたんですね」と呟いた。それに、三鬼は小さな疑問を覚えた。

 宮橋の表情に、どこか陰りが過ぎった。まるで心の調子でも整えるかのような間を置いて、うっすらと笑みを浮かべる。

「少々荒かったが、上手くいって良かったよ」

 宮橋が手伝い、智久が身を起こした。

「君、どこか痛いところは?」
「いいえ。ちょっと『中身』に衝撃があったくらいで――」

 そう柔らかく答えた時、ふと、智久がこちらに気付いて視線を上げてきた。