宮橋は、後ろに続くこちらに、普段の文句の一つも言ってこないままだった。三鬼も、口を閉じたまま無言で歩き続けていた。
その時、後ろのポケットで携帯電話が鳴り、三鬼は宮橋の細い背中を見つめたまま、重い腕を持ち上げて電話を取った。
『こちら藤堂です。マサル君を、近くのパトカーに乗せました』
「おう、お疲れさん」
三鬼は、抑揚なく述べた。電話の向こうからは、藤堂の乾いた笑いが聞こえてくる。
『『お疲れさん』は、まだ早いですよ。すぐに事故処理班は回しましたが、僕も橋端さんも、なんとも説明出来なくて、先輩がいつもやっているみたいに『あとで宮橋さんに訊いてください』って、つい言っちゃいました』
「それでいい。何か言われたら、あとで宮橋が報告すると伝えておけ」
ポケットに片手を突っ込んだまま、肉のついてない背を丸めた三鬼は、宮橋が横断歩道を渡るのを見て、距離感を保ったまま自分もそちらへ足を運ぶ。
『そちらは大丈夫ですか? 橋端さんも、すごく心配していましたよ。彼女は今、トラックの事故現場に駆け付けた小楠警部と、合流したところです』
その時、後ろのポケットで携帯電話が鳴り、三鬼は宮橋の細い背中を見つめたまま、重い腕を持ち上げて電話を取った。
『こちら藤堂です。マサル君を、近くのパトカーに乗せました』
「おう、お疲れさん」
三鬼は、抑揚なく述べた。電話の向こうからは、藤堂の乾いた笑いが聞こえてくる。
『『お疲れさん』は、まだ早いですよ。すぐに事故処理班は回しましたが、僕も橋端さんも、なんとも説明出来なくて、先輩がいつもやっているみたいに『あとで宮橋さんに訊いてください』って、つい言っちゃいました』
「それでいい。何か言われたら、あとで宮橋が報告すると伝えておけ」
ポケットに片手を突っ込んだまま、肉のついてない背を丸めた三鬼は、宮橋が横断歩道を渡るのを見て、距離感を保ったまま自分もそちらへ足を運ぶ。
『そちらは大丈夫ですか? 橋端さんも、すごく心配していましたよ。彼女は今、トラックの事故現場に駆け付けた小楠警部と、合流したところです』