マサルが、ヒュっと喉を鳴らして泣き止んだ。彼は、ようやく手を離してくれたた宮橋の背中に回って、スーツのジャケットを掴んだ。
「そうだ、そこにいろ、マサル少年。死にたくはないだろう?」
宮橋は横目に彼を捉え、低く呟いた。マサルが首を上下に振った時――ブツリと電源が落ちるような音が一同の耳元で上がり、見えないフィルターに遮断されたかのように外界の音がかき消えた。
それに取って替わった直後、ブーンっと強い耳鳴りが頭の芯を揺さぶった。真由は一瞬、重心がふやふやになってくらりとした。
吐き気を起こす異常なまでの耳鳴りは、一瞬だった。気付いたら、ぱしりと腕を掴まれていた。
目を向けると、片手で頭を押さえた藤堂が、「大丈夫ですか」と声を掛けられてきた。真由がなんとか頷き返して見せると、三鬼がひとまず安全を取るように表情を歪めつつ手で指示して、彼がその後ろへと誘導する。
風は、ぴたりと止んでいた。
冷たい空気が身体に触れる。汗が吹き飛ぶような冷気を足元に感じるにも関わらず、湿ったねっとりとした気配が上半身を絡みとって、額に嫌な汗をかいた。
「そうだ、そこにいろ、マサル少年。死にたくはないだろう?」
宮橋は横目に彼を捉え、低く呟いた。マサルが首を上下に振った時――ブツリと電源が落ちるような音が一同の耳元で上がり、見えないフィルターに遮断されたかのように外界の音がかき消えた。
それに取って替わった直後、ブーンっと強い耳鳴りが頭の芯を揺さぶった。真由は一瞬、重心がふやふやになってくらりとした。
吐き気を起こす異常なまでの耳鳴りは、一瞬だった。気付いたら、ぱしりと腕を掴まれていた。
目を向けると、片手で頭を押さえた藤堂が、「大丈夫ですか」と声を掛けられてきた。真由がなんとか頷き返して見せると、三鬼がひとまず安全を取るように表情を歪めつつ手で指示して、彼がその後ろへと誘導する。
風は、ぴたりと止んでいた。
冷たい空気が身体に触れる。汗が吹き飛ぶような冷気を足元に感じるにも関わらず、湿ったねっとりとした気配が上半身を絡みとって、額に嫌な汗をかいた。