「ふうん? つまりまたあれか、俺らが説明出来ねぇようなことで、そのうえ、お前も質問には答えねぇ類のやつってわけだ」

 三鬼は慣れたように、けれど『相変わらず忌々しい奴だな』とでも言うような顰め面で口にしていた。藤堂と真由は、困惑した表情で互いに見合う。

 宮橋は何も答えなかった。ふと、マサルの腕を右手で掴んだまま、腕時計へと視線を滑らせる。

 それを見た三鬼の眉が、途端にピクリとはねた。

「さっきから、やけに時間を気にしているじゃねぇか」
「そんなことはないさ」

 宮橋は腕を降ろすと、俯くマサルを横目に留め、それから三鬼に視線を戻してこう続けた。

「いいか、君たちが守るのは、この少年だ。そして自分の身だ。――僕が合図を出したら、彼を保護しろ」

 三人に質問を許さず、宮橋はマサルを引き連れて道を左折した。

 チッと舌打ちして、三鬼が「おい待て!」と走り出した。真由も慌てて駆け出し、すぐに藤堂も続いたが、同じように左の道に入った瞬間、突然彼の鋭い声が上がった。