マサルを引き連れた宮橋が、足早に先頭を進んでいる。そのニメートル後方を、三鬼、藤堂、真由が続く。

 先程、藤堂がマサル少年を連れてきてから、詳しいことは聞かされないまま「行くぞ」と少年の腕を取った彼に促されて、真由たちは、こうして宮橋の後ろをついて歩いていた。

 空には、平たい雲が浮かんでおり、やや深みを帯びた日差しに照らし出されている。気の早い店には、ぽつりぽつり明かりが灯り始めていた。

 宮橋は足が長いため、普段からでも歩くのがかなり速い。藤堂の横で、真由は半ば駆けるように足を進めていた。少し前を歩ている三鬼は、宮橋とほぼ同じぐらいの背丈があるので、肉付きの悪い細身の足を無理もせず前後に繰り出している。

 マサルは腕を引かれつつも、時々力の入らない足をもつれさせていた。その度に、宮橋が目もくれずに彼を引き上げた。

 車の進入が出来ない今、歩道を歩いている通行人は普段の半分ほどもない。宮橋は黙ったまま、通行人が少なくなった歩道を進む。