佐藤たちが動き出したのを確認した後、宮橋が腕時計を睨みつけた。それを見た三鬼が「時間がないのか」と静かに問うと、彼は顔を上げて、小馬鹿にするようにニヤリとする。
「馬鹿だな。犯人とは合意の上で、僕らは迎えに行くだけなんだ。そんなはずがないだろう?」
ふと、その不敵な笑顔が、無理をしているように見えた。
真由は、不安に似た感情が混み上げて、変だなと思って自分の心音に耳を傾けた。相手はたった一人の少年という疑問もあるけれど、一見すると容疑者の確保も目前であるのに、あやふやながらも心配心で落ち着かない。
思わず、藤堂が見つめている、宮橋とは同期である三鬼の様子を窺った。彼は眉根を寄せて、いつものように怪訝顔をしているけれど、何かを気にかけているような印象も覚える。
――宮橋を一人にするな。
ふっと、そんな小楠警部の言葉が蘇った。どうしてか、そう告げた際の彼の表情が重なった時、目に留めていた三鬼が、顰め面でわざとらしいくらいの溜息を吐いて「おい、宮橋」と呼んでいた。
「馬鹿だな。犯人とは合意の上で、僕らは迎えに行くだけなんだ。そんなはずがないだろう?」
ふと、その不敵な笑顔が、無理をしているように見えた。
真由は、不安に似た感情が混み上げて、変だなと思って自分の心音に耳を傾けた。相手はたった一人の少年という疑問もあるけれど、一見すると容疑者の確保も目前であるのに、あやふやながらも心配心で落ち着かない。
思わず、藤堂が見つめている、宮橋とは同期である三鬼の様子を窺った。彼は眉根を寄せて、いつものように怪訝顔をしているけれど、何かを気にかけているような印象も覚える。
――宮橋を一人にするな。
ふっと、そんな小楠警部の言葉が蘇った。どうしてか、そう告げた際の彼の表情が重なった時、目に留めていた三鬼が、顰め面でわざとらしいくらいの溜息を吐いて「おい、宮橋」と呼んでいた。