真由は、藤堂とふっきれた顔でしっかりと頷き合った。お互いのパートナーである宮橋と三鬼を探すため歩き出し、例の大型トラックを越えたところでその姿を見つけた。

 少し離れた壁の方に宮橋の後ろ姿があり、シルバーの携帯電話で何やら話をしているようだった。こちらに気付いた三鬼が、「なんだ、お前らも来たのかよ」と言う。

 その時、携帯電話を下げた宮橋が、こちらをくるりと向いて、ツカツカと歩み寄ってきた。

「与魄智久を、殺人の容疑で逮捕する」

 真由と藤堂は「「え」」と叫びかけて、思わずお互いの口を塞ぎあっていた。

 三鬼が「お前ら、仲がいいな」と後輩組の息ぴったりの動作に感心していると、宮橋が顎をくいと持ち上げるように彼らを見下ろして、片方の手を腰に当ててこう続ける。

「藤堂、至急、署に逮捕状の手配を」
「あ、はい!」
「橋端真由、僕との約束は忘れてないな?」
「えぇと、『命令は絶対!』ですよね?」

 勢いで答えた真由は、ふと与魄智久の顔写真を思い返した。癖のない黒髪に細い首、大人しそうな顔立ちをした少年だ。その彼が、殺人の容疑者……?