生きられるのがその間だけなのに、それでも君は笑うんだなと、宮橋は口にしないままぼんやりと思った。

「これから方法と手順を教えるから、僕が話す事を、しっかり聞いておいてくれ」

 そう切り出して、その内容を手短に語った。

       ◆◆◆

 宮橋と三鬼が大型トラックの向こうに視えなくなって、約十五分が過ぎようとしている。真由は壁際に背中を預けて、傷の付いた自分の携帯電話を見つめていた。

 手にすっぽりと収まったそれは、大きな外傷はないものの、表面にある桃色のコーティングが剥がれてしまっていた。凹んで歪な鉄の塊となってしまった軽自動車には、持ち主を含める関係者たちが集まっている。

 先程までここにいた田中と竹内は、ほんの数分前に救急車で運ばれ出されていた。真由は彼らとろくに話も出来ないまま見送り、その隣には同じように脱力して、半ば放心している藤堂の姿もあった。

「先輩たち、どこに行ったんですかねぇ」
「うん…………」

 藤堂の何気ない呟きに、真由は心ない返事を上げた。