「上手く行ったようだね。――まさか、ウチのところの捜査員の電話まで媒体にされるとは思わなかったから、強行手段を取らせてもらった」
『そう、ですね。少し頭の中が揺れて、立っていられませんでした……』
「少々荒技だが、発生した気配を辿らせてもらって、直接君の精神を揺さぶったからね。今、『彼』は君の中か?」
宮橋は、囁くほどの声量で話した。自分の後ろで、三鬼がこちらの背中を凝視している視線はずっと感じていた。事故の収拾がつかずに喧騒が相変わらず続いていてため、小声で話すこちらの会話は誰にも届いていない。
『はい。あなたの声が聞こえて、言われた通りの言葉を思い浮かべたら、戻って来てくれました』
「よろしい。では、話を続けよう」
宮橋は壁に手をつくと、より一層声を潜めた。
「先に言っておくが、僕は少々視え過ぎる『目』と、少しの知識があるにすぎない。――事件の事は知っているな?」
『はい、数時間前に知りました』
電話の向こうで、与魄智久があやふやに肯く気配がした。宮橋は腕時計で時間を確認し、続ける。
『そう、ですね。少し頭の中が揺れて、立っていられませんでした……』
「少々荒技だが、発生した気配を辿らせてもらって、直接君の精神を揺さぶったからね。今、『彼』は君の中か?」
宮橋は、囁くほどの声量で話した。自分の後ろで、三鬼がこちらの背中を凝視している視線はずっと感じていた。事故の収拾がつかずに喧騒が相変わらず続いていてため、小声で話すこちらの会話は誰にも届いていない。
『はい。あなたの声が聞こえて、言われた通りの言葉を思い浮かべたら、戻って来てくれました』
「よろしい。では、話を続けよう」
宮橋は壁に手をつくと、より一層声を潜めた。
「先に言っておくが、僕は少々視え過ぎる『目』と、少しの知識があるにすぎない。――事件の事は知っているな?」
『はい、数時間前に知りました』
電話の向こうで、与魄智久があやふやに肯く気配がした。宮橋は腕時計で時間を確認し、続ける。