後ろで真由と藤堂の気配を覚えながら、宮橋はシルバーの携帯電話を耳に当てて歩き出した。こちらに気付いた三鬼が、駆け寄ってきて肩を掴んで引き留める。
「おい、どこへ行く気だ、宮橋」
「煩い。ついてくるな、馬鹿三鬼」
宮橋はその手を振り払うと、トラックの荷台部分に出来た影まで進み、携帯電話を耳に当てたまま空を見上げた。三鬼がつられて視線を上げる。沈みそうな太陽の明かりが広がる薄青い頭上には、霧状の雲が裂かれ伸びていた。
繰り返されていた無機質な呼び出し音が、唐突に途切れた事に気付いて、宮橋は空を眺めたまま、明るい鳶色の瞳をそっと細めた。
『はじめまして。あなたが【ミヤハシ】さんですか?』
電話越しに、声変わりのしていない幼い声が聞こえる。宮橋は「ああ」と力なく答えた。相変わらずしつこい三鬼を一瞥すると、こちらのやりとりを聞くなと視線で伝えて、少し離れるように歩いて、彼に背を向けて壁際に向かって立つ。
「おい、どこへ行く気だ、宮橋」
「煩い。ついてくるな、馬鹿三鬼」
宮橋はその手を振り払うと、トラックの荷台部分に出来た影まで進み、携帯電話を耳に当てたまま空を見上げた。三鬼がつられて視線を上げる。沈みそうな太陽の明かりが広がる薄青い頭上には、霧状の雲が裂かれ伸びていた。
繰り返されていた無機質な呼び出し音が、唐突に途切れた事に気付いて、宮橋は空を眺めたまま、明るい鳶色の瞳をそっと細めた。
『はじめまして。あなたが【ミヤハシ】さんですか?』
電話越しに、声変わりのしていない幼い声が聞こえる。宮橋は「ああ」と力なく答えた。相変わらずしつこい三鬼を一瞥すると、こちらのやりとりを聞くなと視線で伝えて、少し離れるように歩いて、彼に背を向けて壁際に向かって立つ。