藤堂が間の抜けた声を上げるそばで、真由は携帯電話の着信画面を開いた。その画面には、見慣れた『小楠のおじさん』という表示が出ていて、覗きこんできた彼が途端に首を捻る。
「『おじさん』……?」
「ウチのお父さんの友達で、昔から家族で付き合いがあるんです」
「なるほど。そう言えば、橋端さんのお父さんって『橋端警視』だっけ」
向こうで宮橋の脇に立ったままの三鬼が、二人の後輩たちに「どうしたよ」と疑問を投げかける。二人は、ほぼ同時に「「なんだ、課長か」」と声を揃えていたので聞こえていなかった。
とはいえ、発信者が誰であるのか分かったものの、真由は唇をへの字に曲げてしまっていた。今に限って、どうして着信音が違うのだろうと思う。
「こんなところで黒電話の着信音とか、持ち前の低い女子力が更に下がるようでいたたまれない…………」
「あ~、まぁ、その、気にしなくて大丈夫だよ。普段は違うって分かったし……。うっかり間違えて、警部専用に着メロとして設定しちゃったとか」
「『おじさん』……?」
「ウチのお父さんの友達で、昔から家族で付き合いがあるんです」
「なるほど。そう言えば、橋端さんのお父さんって『橋端警視』だっけ」
向こうで宮橋の脇に立ったままの三鬼が、二人の後輩たちに「どうしたよ」と疑問を投げかける。二人は、ほぼ同時に「「なんだ、課長か」」と声を揃えていたので聞こえていなかった。
とはいえ、発信者が誰であるのか分かったものの、真由は唇をへの字に曲げてしまっていた。今に限って、どうして着信音が違うのだろうと思う。
「こんなところで黒電話の着信音とか、持ち前の低い女子力が更に下がるようでいたたまれない…………」
「あ~、まぁ、その、気にしなくて大丈夫だよ。普段は違うって分かったし……。うっかり間違えて、警部専用に着メロとして設定しちゃったとか」