ボーナス時に友人と来る事もある、通りでも有名な大型ブランド店のガラス面が全て砕け散っていた。枠にそって割れたガラス片を残すばかりで、破片を散乱させて遮る物が何もない状況になっており、そこからフロント部分が大破した大型トラックが、後輪だけを店内に残した状態で車体を突き出している。

 反対側の通りまで一直線に吹き抜けになってしまった店内は、嵐が通り過ぎた跡のように棚や服が脇に押しやられていた。白い大理石に似た床には、大きなタイヤ痕が残されていて酷い惨状である。

「…………本当に、トラックが突っ込んだんだ」

 現実感がなくて、呆気に取られて呟いてしまう。すると、先に車から降りた宮橋が「交通課の管轄だ」と素っ気なく言った。

 真由は「置いてかないでくださいよ」と慌てて外に出て、ツカツカと長い足で歩く彼の後を追いながら通りを見回した。

「こんなに見晴らしがいいのに、どうして突っ込んだんでしょうか……」
「ハンドルを取られたんだろ」

 宮橋は、それだけで話題を切った。