「ちょうどいい、今は時間がある。どんな風に暴行して金を巻き上げてんのか、話を聞こうじゃねぇか」

 額に青筋を浮かべて、三鬼がドスの利いた声を上げた。凶悪犯のような殺気立った顔で、拳を掌に押し付けてゴキリと鳴らす様子を見て、マサルが一層怯えたように血の気を引かせて、半泣きの表情を晒した。

 周りにいた捜査員たちが、尋問のようにテーブルを叩こうとした彼に気付いて、後ろから羽交い締めにして止めた。

「三鬼さん、このタイミングではまずいですってッ、勘弁してあげてください!」
「よし行け藤堂!」
「お前が今は相棒で、ここじゃ一番の若手だからなッ」
「とりあえず三鬼さんを、元の場所に戻してこいッ」
「えぇぇぇぇぇ、そんな野良の捨て犬じゃないんだから、戻してこいって言い方はちょっと違うような――……って先輩ストップ! そのまま沢田(さわだ)さんごとぶん投げる気ですか!?」

 なんて迷惑な先輩なんだよッ、と藤堂が慌てて飛びかかり、無駄に有り余っている馬鹿力で三鬼を引っ張って引き離し始めた。彼は「ちぃッ、宮橋並みに馬鹿力な野郎め」と愚痴ると、引きずられながらも「おいクソガキ」と指を突きつけた。