彼の名前は、三鬼薫といった。今年で三十六歳である。いつも連れているのは、二年前から彼の相棒である藤堂司だ。藤堂は捜査一課で一番のベビーフェイスをしており、根が素直で愛想がいい事もあって、聞き込みを得意としている捜査員の一人だった。
「おい。あの女、確か橋端真由って言ってたよな?」
「昨日挨拶していましたもんね。可愛いなぁ」
「俺が聞きたいのは、そっちじゃねぇよ!」
三鬼は、本格的に藤堂の胸倉に掴みかかった。
「あの新人、まさか、あいつと組まされるんじゃ……」
「先輩、聞いてなかったんですか? 昨日、警部がそうおっしゃっていたじゃないですか」
それを聞いた三鬼が「嘘だろ!? マジかよ」という叫びを課内に響かせた頃、小楠は元倉庫のような部屋の扉をノックしていた。
少し斜めにずれた表札には、『L事件特別捜査係』と記されている。
「ここが、『彼だけの部屋』というやつですか?」
「そうだ。普段は開けているが、さっき見掛けた細い方の古株刑事、三鬼薫が煩い時は閉められている事もある」
「おい。あの女、確か橋端真由って言ってたよな?」
「昨日挨拶していましたもんね。可愛いなぁ」
「俺が聞きたいのは、そっちじゃねぇよ!」
三鬼は、本格的に藤堂の胸倉に掴みかかった。
「あの新人、まさか、あいつと組まされるんじゃ……」
「先輩、聞いてなかったんですか? 昨日、警部がそうおっしゃっていたじゃないですか」
それを聞いた三鬼が「嘘だろ!? マジかよ」という叫びを課内に響かせた頃、小楠は元倉庫のような部屋の扉をノックしていた。
少し斜めにずれた表札には、『L事件特別捜査係』と記されている。
「ここが、『彼だけの部屋』というやつですか?」
「そうだ。普段は開けているが、さっき見掛けた細い方の古株刑事、三鬼薫が煩い時は閉められている事もある」