その様子を見守っていた真由は、ある意味息がぴったりのような気がして、仕事上の付き合いが長いせいなのだろうかと考えてしまう。というか、三鬼さんって意外と猪突猛進で素直さのある、馬鹿っぽい部分もあるのだろうか?

 よく怒っているけれど気遣いは出来るし、なんだかんだ言って、宮橋を一番邪魔せずにスムーズにやりとりが出来ているのが、三鬼のような気がする。

「ひとまず与魄智久を見つけたら、話したい人がいると伝えて僕に電話させろ。彼の状態を僕が確認していな状況で、刺激するような言葉は絶対にするな」

 宮橋は疲れたように一方的に言って、電話を切った。携帯電話を胸ポケットにしまい、再び車を走らせる。

 しばらく、車内には沈黙が続いていた。カーナビに電源が入っていないせいで、こんなにも静かなのだと真由は気付いた。

 田園風景が少なくなるにつれて、与魄智久の祖母の家が遠くなっていくのを考えたら、あそこで色々と沢山の疑問を覚えた気がして首を捻った。彼はほとんど聞き手として座っていただけのはずなのに、どうして『彼が沢山お話したのに』と感じてしまったのだろう?